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消費増税のその先~消費税の益税排除

作成日:2019年08月09日(金)

消費税の益税はご存知でしょうか?

 

【概要】

・消費税の益税とは
・なぜ益税が認められるのか?
・今後の消費税(インボイス方式導入)

 

 

 

・消費税の益税とは・・・

 

*自分の売上高の大小いかんに係わらず、自分で作った商品が税抜き1000円だったとして、

それを消費税込みの1080円で売ることは認められています。

 

免税事業者であっても、税込みで販売することは認められています。

 

この商品だけを1年間売り続けたとして、1年間の売上高の合計金額が1000万円を超えない場合

つまり、1080円×9259個(以下)=9,999,720円だった場合

 

1080円で販売したものにかかる消費税の80円部分は、消費税を納めないでよいことになります 。

つまり、80円×9259個=740,720円が益税となります。

 

(ただし、新規設立の場合は上半期に売上高500万円を超えない場合)

 

これは結構、知ってる人は知ってる、知らない人は・・・な事実です。

 

 

・なぜ益税が認められるのか?

 

益税になるとすごくトク、そんなんアリ?っていう感じもしますが、アリなんです。

なぜそうなっているか考えてみましょう。

 

たとえば、アクセサリーの材料を買って、自分で作って完成させ、商品として売る場合を考えてみましょう。

 

アクセサリー(最終の商品)を商品税込みで216円(商品代金200円+消費税16円)で売るためには、 材料が必ず要りますよね。

 

その材料を税込み54円(原材料の価格50円で消費税4円と仮定)で買ったとしましょう。

54円には必ず消費税が含まれた金額で購入しています。買う時に消費税を支払わないということはできませんので。

 

すると 216円-54円=162円がアクセサリー屋の利益になります。

 

通常、消費税のかかる課税事業者の場合だと、

16円ー4円=12円の消費税を納付しますので、つまり、162円(税込みの利益)-12円(消費税の納付)=150円(正味の利益) 

となります。

 

では次に、上記と同様の場合に、消費税が全くかからない世界があったと考えてみますと、

 

商品200円(税抜き)ー原材料50円(税抜き)=利益150円となります。

この利益150円が本来の利益になりますよね。

 

つまり、216(税込みの売上)-54(税込みの原価)=162円(税込みの利益) 

162円(税込みの利益)ー12円(消費税)=150円(本来の利益) と、

消費税がまったくかからない世界の利益は150円と同じ結果になります。

 

しかし、消費税はかかるが、免税事業者に消費税の益税は認めない世界を考えてみると

支払いは税込み、売上は税抜きというように、商品200円ー原材料の税込み54円=利益146円となり、

本来得るべきであった利益(150円)を割り込んでしまう恐れがあります。

そこで、免税事業者であっても、消費税込みで売上を行うことを認められてきました。

 

・今後の消費税(インボイス方式導入)

 

しかし、この免税事業者・益税のメリットも将来改正が予定されております。

それが、令和5年10月1日以降より導入される、いわゆる「インボイス方式」です。

 

正式には、「適格請求書等保存方式」と呼ばれ、消費税の課税事業者が、適格請求書発行者となり、登録番号が付与されることになります。

この適格請求書を発行したものについて、仕入税額控除を取れることになります。

 

つまり、免税事業者は適格請求書を発行できないために、売上する際に、免税事業者かどうかが取引相手に分かってしまうということになります。

そして、仕入側(取引相手)は課税仕入に係る税額の全てを、課税売上から控除できなくなります。

令和5年10月1日から突然、すべてを控除できなくなる訳ではありません。6年間の経過措置のあとに課税仕入に係る控除税額ができなくなります。

 

つまり、免税事業者との取引を行うと、課税事業者(多くの大企業)が不利になるという方向で、

免税事業者の益税を少なくしようという意図が考えられます。

 

免税事業者同士の取引であれば、お互い消費税がかからないということを前提に取引することも可能ですが、

免税事業者と課税事業者との取引ですと、課税事業者側に不利な取引になります(あくまで仕入税額控除が取れないという意味で)から、

課税事業者は課税事業者同士の取引に移行することも十分に考えられます。

 

ご興味を持っていただき、みなさまの一助になれば幸いです。

以上です。

 

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