メニュー

平成30年税制改正 家なき子 節税スキーム防止と小規模宅地特例について - 木内・橋本会計事務所-税務・経理・財務・確定申告お任せ下さい

まずはお気軽にご相談下さい
06-6314-2317

大阪北税務署の北側ビル

まずはお気軽にご相談下さい06-6314-2317

大阪北税務署の北側ビル

新着情報

平成30年税制改正 家なき子 節税スキーム防止と小規模宅地特例について

作成日:2019年03月13日(水)

 

今回も事務所だよりから「夫婦一緒の老人ホーム入居と小規模宅地特例」という記事について 取り上げたいと思います。

平成30年税制改正において、小規模宅地等の特例適用の要件が厳しくなりました。

 

 

その前に、そもそも小規模宅地等の特例とは

  「亡くなった人が自宅として使っていた土地については、配偶者か故人と同居している親族が相続した場合、

その土地については8割評価減で、相続税を計算できる。」 というものです。

 

  趣旨としては、

「ひとり親の土地で居住している同居している子(将来の相続人)あるいは別居でも、 そのまま親の土地に住みたいのに、

親からの相続により、 その土地を売却することでしか相続税が払えないというような状況を回避するため、 土地の評価を下げましょう。」

というものです。

 

  もちろん、相続人に持ち家があればそのような適用がなく、

同居できずに地方勤務のために賃貸マンションでやむなく暮らしているというような場合が 想定されます。

 

制度の趣旨から考えれば親との同居が前提ですが、やむを得ない事情で親と別居している場合にもこの特例の適用が認められているため、適用の対象が広がっていました。

 

今回の改正では、以下のような節税スキームを防止するために改正されたと考えれば、非常に分かりやすいかと思います。

 

ではどういうスキームで、平成30年税制改正前には「家なき子節税」がされていたのでしょうか?

 

①孫へ移転スキーム

子はすでに持ち家を持っている場合で、孫はまだ子供のため持ち家を持っていないということが考えられます。 そこで、生前に被相続人に遺言を書き、相続人本人ではなく持ち家がない相続人の子(被相続人の孫)に遺贈する方法です。

 

②親族売買スキーム・社宅スキーム

子がすでに持ち家を持っている場合に家なき子状態を作るため、一旦、建物のみを親に贈与してすぐに親からその建物を借りるという形にする。 そうすると、実態は持ち家に住みながら、家なき子状態になります。これは親でなくても、親族に売ってその建物を借りるという状態でも同様です。 もちろん、贈与税や登記費用など不動産に関する費用はかかります。

また、同族会社へ家屋を譲渡後、役員社宅として借り上げる場合。 同族会社がある場合には、その会社へ相続人所有の家屋を譲渡して、譲渡後に役員社宅などという名目で会社から借りれば、これもまた家なき子になることができます。

 

③賃貸物件へ引っ越しスキーム

相続人が現在住んでいる持ち家から引っ越して賃貸物件に住む方法です。

賃貸物件に住んでいること自体は税法が想定する場合でありストレートに大丈夫なのです。

しかし、持ち家がありながらも、わざわざ法の適用をうけるために、別に賃貸物件に住むのかという話ですね。。

ただし、引っ越しから3年を経過しないで特例対象の土地所有者が亡くなってしまった場合には、家なき子には該当しないことになりますのでご注意ください。

 

今回の平成30年税制改正において、小規模宅地等の特例適用上記のうち、①と②が完全に要件から外れることになります。

 

特例適用のための5つの要件を確認しましょう。

 

【要件1】被相続人の相続人に配偶者がいないこと

【要件2】被相続人に同居相続人がいないこと  

亡くなった人に配偶者も同居していた相続人もいないことという要件です。

つまりは2次相続でしか、家なき子の特例は出てこないことになります。

 

亡くなった人が一人で自宅に住んでいた状態です。あるいは、相続人ではない人と同居していたという状態。

分かりやすい例でいうと、父と死別(離別)した母が実家で一人で暮らしているような場合ですね。

 

【要件3】相続開始前3年以内に、自己または自己の配偶者、3親等内の親族等が所有する家屋に居住したことがないこと  

相続する人が3年以上、自分の持家に住んでいないことという事で、3年以上前から、相続する人が賃貸マンションなどに住んでいることを想定しています。また被相続人の居住家屋に住んでいることでも大丈夫です。

 

 【要件4】 相続開始時の居住家屋につき過去に所有事実がないこと

親族売買や社宅スキームのような形式的な所有名義の変更だけではダメで、従前住んでいたという事実がないことが必要です。

 

【要件5】 その宅地等を相続税の申告期限まで有していること

相続発生の日から10ヵ月は所有していることが必要です。

 

これは相続した土地を売却することも認められていますが、

相続開始の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに譲渡した場合

「相続税の取得費加算の特例」が利用可能のため、通常の譲渡よりも有利になっていますが、

売却すると決めている場合でも、少なくとも相続発生から申告期限の10ヵ月は所有してくださいね。ということかと思います。

(10ヵ月の縛りがどれほど有効かが分からないのですが・・・)

 

ということで、かなり適用の要件が厳しくなりました。

 

【要件3、4】によって、①孫へ移転スキーム、②親族売買スキーム・社宅スキームは完全に防止されております。

 

まあ、小規模宅地等特例自体が、特例のため本来の制度趣旨・運用に戻るということでしょうか。

 

ご興味を持っていただき、みなさまの一助になれば幸いです。

以上です。

Copyright © 木内・橋本会計事務所 All Rights Reserved.