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税務判例から考える

作成日:2019年04月09日(火)

税務判例から考える

 

会計士仲間の内輪の勉強会で講師をしたこともあり、有名な税務判例を多く読みました。

有名な会社のものから、この主張は難しいのでは?というものまで、色々とあり興味深かったです。

 

すべてをご紹介しようとすると結構な分量になりそうですので、 今回は軽めのものを書いてみたいと思います。

 

◇納税後の期限後申告と無申告加算税について

 (関西電力事件) 大阪地裁平成17年9月16日判決

 

(事案)

関西電力株式会社(以下、会社)が消費税の納付をしたが、消費税の確定申告書(247億円)の提出を失念していた。

その結果、税務署は期限後の申告として、12億円の無申告加算税を賦課した。

 

ちなみに本来の無申告加算税は15%だが

「更正又は決定を予知しないで申告した場合」に該当すると認定され5%の賦課となっている。

(本来の計算ならば36億円!!)

 

つまり、 消費税の納付は完了していたのだが、消費税の確定申告書を提出するのを失念していたということです。

 

 

まあ提出期限を過ぎているし、無申告加算税もやむなしというところですが、

金額が金額だけに裁判で争われたようです。

 

(論点)

 

①消費税の納付書の提出をもって、申告がなされたものとされるか?

②消費税の予納がなされたことで、納税義務は消滅しているから、無申告加算税の基礎となる金額も消滅している?

③確定申告書を提出しなかったことについて、「正当な理由」が認められるか?

 

判決は・・・

 

 

 

:納税者(会社)敗訴

 

(根拠)

①確定申告書には、課税標準や仕入税額控除額、これを控除した残額に相当する消費税を記載するものである。

また提出先も税務署長。

 

 

一方、納付書は課税標準、控除金額などは記載されておらず、収納機関として金融機関に提出されたものである。

両者の機能と法的効果は全く別物であって、納付書の提出をもって、申告とみることは出来ない。

 

②申告書が提出されて初めて、消費税の額が確定するのであるから、

その前の納付時点で租税債務が消滅したものと考えることはできない。

予納がなされた場合でも、納付すべき税額は存在する。

 

③「正当な理由」とは、

天災などの客観的な事由、申告者の責めに帰すべき事由がないことであり、当事案には該当しない。

 

以上のように残念ながら、会社の主張は認められず、無申告加算税を賦課される結果となりました。

 

しかし、まだ話には続きがあり、その後の平成18年度の国税通則法が改正され、

「期限後申告書が法定申告期限より2週間以内に提出され、かつ、法定納期限までに納付すべき税額が納付されている等の期限内申告書を提出する意志があったと認められる 一定の場合には、無申告加算税は課せられなくなる」となりました。

さらに現在の申告については2週間以内から、1ヵ月以内に変更されています(国通66条6項)

 

申告書が1ヵ月先の提出であっても、納付さえ先にしておけば、無申告加算税が課される可能性はないということですね。

でも、出来る事なら申告期限は忘れずにしたいですね。

 

ご興味を持っていただき、みなさまの一助になれば幸いです。

以上です。

 

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